概要

近年情報通信技術は急速な発展を遂げ,社会システムにおける根幹を担うようになった.暗号技術は情報通信においてデータの機密性,完全性,可用性を保持するための必須要素である.現在,IETF(The Internet Engineering Task Force)が標準化した暗号化通信プロトコルである TLS1.3 では,共通伴暗号の暗号化方式のうち,ストリーム暗号は ChaCha20 のみが採用されている.この為,ChaCha20 に対する安全性解析は非常に重要であるChaCha20 ではラウンド関数 (RD) と呼ばれる 32-bit 加算,排他的論理和および巡回シフトを用いた操作を,繰り返し計算することで乱数を生成する.この乱数が真乱数に近いほど安全な暗号であり,生成した乱数の各ビットに偏りが存在した場合,安全性が損なわれる.本研究は,ChaCha20において複数ビットに変化を与えるによる影響の伝播を調べ,安全性の解析を行うことを目的とする.

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