ブロック暗号のソフトウエアによる高速化手法である「ビットスライス 実装」を、Intel の新しいプロセッサ Core2 に適用した結果を報告する。 ビットスライス実装はこれまで RICS プロセッサで特に有効性が実証 されてきたが、一方 PC では下記の理由であまり利用されることがなかった。 (1) PC プロセッサはレジスタが少ないため、ビットスライス実装では メモリアクセスの頻度が多く、これが速度のボトルネックになる。 (2) ビットスライス実装は特殊なデータフォーマットを利用するので、 既存の実装とデータの互換性がない。 本講演では Core2 プロセッサで大幅に強化された SIMD 整数命令を用いて (1) (2) の課題がともに克服できることを示す。またこの結果 KASUMI が 通常の実装の4倍高速化できること、また AES でも既存の結果よりも高速な 実装がビットスライスで実現できることを示す。 ビットスライス実装は、キャッシュ攻撃のようなサイドチャネル攻撃に 対して安全であるため、今後実用面でもますます重要になると考えられる。 |