日時: 平成20年3月11日(火)15時 30分 - 17時 00分

      場所: 場 所 情報科学研究科 5階 コラボレーションルーム7

      講演者氏名: 大塚 玲
          講演者所属機関・部局・役職名: 独立行政法人産業技術総合研究所 主任研究員

      講演題目:「バイオメトリクスセキュリティ -ウルフ攻撃確率-」

      生体認証(バイオメトリクスとも呼ばれます)は、指紋、顔、血管パターンなど の人間の特徴を用いて個人を識別・確認する技術です。最近では、携帯電話やパ ソコンのログイン時におけるユーザの確認、銀行のATMにおける顧客の本人確認 や、空港の出入国管理における旅行者の本人確認等の手段として採用されつつあ り、一般の人々にも身近な存在となっている。このような生体認証の各種方式を 情報セキュリティの観点から安心して使用できるようにするために、生体認証方 式のセキュリティ評価手法を確立することが必要とされている。こうした生体認 証のセキュリティ評価手法の確立、および、確立した手法によって評価され、安 全性を第三者が検証可能な生体認証方式の開発を目標に研究を進めている。我々 の研究グループでは,なりすまし攻撃に対する安全性の新しい評価尺度として 「ウルフ攻撃確率」を提案している。ウルフ攻撃確率は、「ウルフ(数多くのテ ンプレートに対して高い類似度を有する入力サンプル)を提示して、ある与えら れたテンプレートと誤一致を引き起こす」という攻撃(ウルフ攻撃)に成功する 確率の上限値と定義され、人工物を含む多様なサンプルを網羅的に入力として与 えるというタイプの攻撃の成功確率の上限を与える。また、既存の指静脈パター ン照合アルゴリズムや典型的な指紋マニューシャ照合アルゴリズム、虹彩認証ア ルゴリズムにウルフ攻撃を適用し、これらのアルゴリズムにおけるウルフ攻撃確 率の算出を行い、従来の安全性指標である他人拒否率(False Acceptance Rate) を、はるかに上回る確率でなりすましが可能なことを示した。


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