プライバシを保護した
ビッグデータ解析

研究課題

小学校で児童がブランコでけがをすると、事故が起こった遊具に関するデータは学校、病院への救急搬送データは消防署、傷害・後遺症に関するデータは病院に管理されます。

つまり、学校での事故の情報は学校・消防署・病院に分散して収集されます。

分散データをプライバシを保護しつつ、突合するセキュアな方法は、ビッグデータ解析に必須です。

研究室の取り組み

データは一極集中せず、各機関に分散したままプライバシを保護した統合システム (Privacy-preserving Distributed Data Integration : PDDI)を実現します。

さらにある一定数の機関に含まれるデータの統合など各種分散データのセキュアな活用方法を実現します。

耐量子暗号の効率化と安全性解析

研究課題

近年、量子計算機の開発が進んでおり、2030~2040年ぐらいに量子計算機が完成すると言われています。量子計算機は、RSA暗号や楕円曲線暗号など、現在の公開鍵暗号の基盤暗号を解読することができます。そのため、量子計算機に対しても安全な耐量子暗号において、現在の公開鍵暗号が実現した鍵共有や匿名署名などの機能の実現、処理速度、公開鍵や暗号文のサイズなどの性能の効率化さらには、安全性解析が必要です。

研究室の取り組み

本研究室では、耐量子暗号である格子ベース暗号(Ring-LWEベース暗号を含む)、同種写像暗号において、既存の公開鍵暗号に存在する鍵共有、匿名署名などの機能の実現、さらには処理速度やメモリ量の効率化、また、実験的・理論的な安全性解析を実施しています。

Cryptanalysis(暗号解析)

研究課題

コロナ時代の到来とともに、zoom などを用いたオンライン授業やオンラインミーティングなど新しいコミュニケーションが加わりました。

  • オンラインでつながっている人は本当に友達ですか?
  • データは秘匿されていますか?

安全なコミュニケーションを実現するのが暗号技術です。

暗号解読の改良は暗号の安全性保証に必須で、各研究機関は標準暗号の解読で競っています。

研究室の取り組み

TLSで世界標準の暗号であるChaCha及びその原型であるSalsaへの解読を実施しています。

これらの大量の暗号文の偏りを解析し、新たな脆弱性の発見により、より強力な暗号を設計する条件を明確にします。

ブロックチェーンの応用と改良

研究課題

ブロックチェーンの技術はビットコイン等金融領域に留まりません。

サプライチェーンによる食の安全保証システム、電力自由化に伴う電力トレーサビリティシステムなど、ディジタル社会を信頼できる取引へと変えると期待されています。

一方、ブロックチェーンに編集可能機能など新たな機能の追加、各種攻撃に対する安全性解析なども必要です。

研究室の取り組み

本研究室では、ブロックチェーンを適用した信頼できる各種ディジタルシステムの構築、編集可能なポリシーベースのカメレオンハッシュによる安全に編集可能なブロックチェーンの実現や様々な攻撃に対する安全性強化など、ブロックチェーンを用いたディジタル化の推進を進めます。

情報操作を回避したプライバシ保護技術

研究課題

データの適切な利活用に向けたプライバシ保護技術はDXに向けた重要な研究課題の一つです。定量的なプライバシ強度と有用性の評価方法、およびその評価指標を満たすデータ加工技術は様々あります。一方でプライバシ保護技術を導入することで、情報操作をしようとする悪意のあるデータの検知が困難になります。したがって、プライバシ保護を実現しつつ、情報操作を取り除く手法は今後ますます重要になります。

研究室の取り組み

データのユースケースに応じて悪意のあるユーザを想定し、攻撃を検知、あるいは攻撃自体を防ぐとともに、有用性の維持とプライバシ保護の両立が可能なデータ加工メカニズムの構築を目指します。

高信頼システムソフトウェアに関する研究

研究課題

IoTの普及より、組み込みソフトウェアやネットワークソフトウェアが我々の命までも支えるようになってきています。

しかし、それらのソフトウェア脆弱性はまだまだ問題であり、脆弱性によって、システムの停止、情報漏洩、乗っ取りなどのセキュリティ上の問題が引き起こされます。

研究室の取り組み

本研究室では、オペレーティングシステム、ネットワークソフトウェアなどのシステムソフトウェアに、Rust言語などの型安全なプログラミング言語や、Coqなどの定理証明支援技術を適用することで、次世代の高信頼システムソフトウェア設計・実装について研究しています。

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