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    第61回全国大会(情報処理学会)参加報告
    副題:全国大会の楽しみ方

    報告者 : 岡本健

    2000年10月3-5日に開催された情報処理学会の全国大会(場所:愛媛大学)に行ってまいりました。

    研究発表やシンポジウム等、どれも興味深かったのですが、ここでは私の独断と偏見により、私が感銘を受けたものから順に説明していくことにします。

    シンポジウムに参加しよう!

    大会の開会式で富田先生(役員)が述べていましたが、情報処理の全国大会は他の学会に比べシンポジウムに大変力を入れているそうです。実際、一般の研究報告と平行してシンポジウムが絶え間なく開催されており、大会参加者は研究報告の合間に興味のある内容を聞くことができます。講演者は各方面で活躍されている非常に著名な先生方ばかりです。これは、種々の専門家が一同集まる場なので、できるイベントといえるでしょう。「全国大会」というスケールメリットをうまく生かしている訳です。

    私が興味を持ったのを一つ紹介します。

    ・公開パネル(1) 「次のDeep Blueはいつできるか(2匹目のDeep Blueはいるか?)」

    このセッションでは将棋、囲碁などの世界において人間を破るようなシステムを作ることができるか、またその結果どのような技術が生み出されるかなどについて各分野で最先端を走る研究者をパネラとして迎え、討論するということがなされていました。

    ゲストには大学の先生方以外にも、囲碁の羽根泰正棋士(プロ九段)が招待され、プロの目から見た囲碁の難しさについて、また野村総研から招かれた小林司氏はゲームビジネス面での発展について、それぞれ講演していました。

    ちなみに将棋、囲碁はいつコンピュータに負ける日がくるか?(講演者の言葉を借りるといつDeep Blueになるか?)ということですが、それぞれのゲームの場合の数を考えた時、将棋は10の70〜80乗、囲碁は3の361乗程度あるらしいです。これと比べチェスは遥かに少ないので、まだまだ大丈夫だろうということでした。ただ、それがいつごろになるかは30年後、50年後など意見が分かれていました。

    コンピュータ将棋の技術的進歩について静岡大の飯田弘之先生が講演。先生はプロ棋士6段の資格を持っているそうです。 大学の研究者の中にはいろんな経歴を持つ人がいるんだなと実感しました。


    デモセッションに参加しよう!

    シンポジウムと共にデモセッションも大会期間中常時開催されています。今回の出展数は大体10団体程度でした。学会の性格を反映してか、ほとんどが企業の宣伝です。意外というか奇遇でしたが、JAISTの丹研究室のメンバが出展していました。彼らのデモは非常に見ごたえがありました。マルチメディアを研究している所は見せる物があっていいなぁと羨ましく思います。私達が所属している研究室はアルゴリズムの研究が主体ですので、このような芸当はできないでしょう。

    JAIST関係者も頑張っていましたが、企業の方々は会社や商品の宣伝になるということもあってパンフレットを差し出し、「当社の開発した○○システムは…」ということを熱心に述べておりました。デモに参加すると情報処理業界に関する最近の動向を知ることができるので、非常に有益だと思います。

    デモ会場にはなんとJAISTの姿も! 丹研究室のメンバが出展していました。 愛媛まで機材を運ぶのに苦労したそうです。 お疲れ様でした。


    研究報告に参加しよう!

    今回はおよそ18ものセッションが平行して開催されていました。内容は数値解析、シミュレーション、ゲーム、ニューラルネットワーク、…と実にさまざまです。セキュリティ関連のセッションも一つの会場を設け常時発表されていました。セッションは細部に別れており、座長にはその中の第一人者の先生が担当されています。私が知っている人としては、松本勉先生がセキュリティのアルゴリズム関係セッション、菊地浩明先生がセキュリティのPKIセッションを担当されていました。

    JAISTの学生の場合、学部時代に取り組んでいた研究は現在やっている内容と違うという場合が多々あると思います。全国大会では、是非昔やっていた研究のセッションに参加し、最近の研究動向等を勉強して欲しいと思います。これはなかなか新鮮な印象を持つことができるのではないでしょうか。ちなみに私が学部時代に勉強したことはホログラフィですが、残念ながらそのようなセッションはありませんでした(材料関係になるから当たり前ですね…)。

    一般講演の様子。セッションによって参加人数は全然違います。この写真は比較的大勢の人が参加しているセッションでした。IPV関連など最近話題のテーマについては参加者が多くなる傾向です。



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