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近年の爆発的なインターネットの普及に伴い, 現代社会の行政, およびビジネス
に関わる様々なシステムが電子化, ネットワーク化されている. しかしその一方
で, ネットワーク内に流れる情報の盗聴, システムへの不正侵入, データの改竄
などのサイバー犯罪が年々増加している. このような社会情勢において情報セキュ
リティは非常に重要な技術のひとつとなっており, その中でも暗号技術は全ての
情報セキュリティ技術の基となる必要不可欠な技術である. 暗号技術の一つに共通鍵暗号がある. 共通鍵暗号とは, 平文をある一定長 のブロックに区切り, 暗号化と復号に同一の鍵を用いてブロック単位で暗号化, 復号の処理を行う暗号である. 共通鍵暗号は処理速度が高速であるため, 計算機内のデータファイルの暗号化や, 最近ではICカードにも利用される等 様々な場面で用いられている. RC6は1998年にRivestらによって提案された共通鍵暗号である. RC6の特徴は, 排他的論理和や加算, 減算, 乗算, 巡回シフトという基本的な演 算を使用することにより, ソフトウェア上で高速に暗号化, 復号の処理を行え る点にある.また, 比較的単純な構造にも関わらず高い安全性を持つことが知ら れている. RC6に対する有効な攻撃法の一つにカイ2乗攻撃がある. カイ2乗攻撃は1996年 にVaudenayによって提案された攻撃法で, 統計的仮説検定の一種である カイ2乗検定を用いて入力平文と出力暗号文の間にある相関関係を検出し, そ れを利用して攻撃を行う. 本研究では, RC6のカイ2乗攻撃によるkey recovery攻撃に対する安全性を 評価する定理を証明した. またその正しさを実験的に確認した. また全ての鍵候補を平等に扱って評価を行い, 最終的に正しい鍵を 一つ出力する従来の攻撃法に対して, 鍵候補を段階的に選定し, 徐々に正しい鍵 を絞り込む手法で解析に必要な平文数を改良することを試みる. この手法の実 現のためにカイ2乗攻撃において, 正しい鍵と誤った鍵のカイ2乗値の振る舞 いの違いに着目した鍵評価値を提案し, これと従来のカイ2乗値の大小による 鍵評価値を組み合わせた新たな鍵評価値を提案した. そしてこの鍵評価値を用 いて鍵の選定を行った場合の精度を実験的, 理論的の双方の観点から評価し, 従来の鍵評価値より必要な平文数が大幅に削減できることを確認した. |
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