楕円曲線暗号に用いるスカラー倍算の効率化に関する研究
情報セキュリティ技術の中で暗号理論は中心的な役割を果たすものである. 本研究は暗号理論の中で公開鍵暗号に分類される楕円曲線暗号の効率化に関するものである. 公開鍵暗号のひとつとしてRSA暗号があるが, 近年の計算機の著しい性能の向上により安全性を確保するために鍵長が1024bitから2048bitに引き上げられることになっている. しかし, 楕円曲線暗号では同等の安全性を確保するための鍵長は224bit以内に留まる. よって, スマートカードや組込み機器などのメモリが制限された環境において, 楕円曲線暗号は今後ますます重要になる. 楕円曲線暗号の効率化のためにはスカラー倍算という演算の効率化が必要である. 楕円曲線暗号は様々な環境で使用されることが想定されるため, スカラー倍算は実装環境(演算能力, メモリ量)を考慮した効率化が必要である. 本研究では楕円曲線のスカラー倍算を実装する環境に合わせ効率化する手法を提案する.