長尾 佳高
近年,様々な機関が大量のデータを保有しており一般的にそれらのデータは複数の属性,例えば名前,住所病名等により構成されるそのため様々な機関が同一人物に関する異なる属性のデータを保管していることが多いこれらのデータをプライバシを侵害することなく統合することができれば原因解析や各属性間の関係などの分析が実現できる.また,統合処理では,データの種類によらず実行できることや,必ず正しい統合データが得られることが必要となる。既存研究である PSIでは,共通集合を計算することに特化した方式が多い.共通集合に付随するデータの解析を実現する方式もあるが,解析方法が制限されたり,多機関の場合に対応していない方式が多い.本論文では,データを突合属性,解析属性,その他の三つの風性に分類し,各属性データを適切に秘匿したデータ統合方式を提案する.本方式では各機関の計算量が機関の数に依存せず,目的の統合データを常に構築できる.また,突合条件を緩和したデータ統合方式への拡張も行い,各機関の計算量,通信量の観点から実用性について評価する.