東 龍之介
情報通信の発展に伴い, 安全な電子契約を保証するためのディジタル署名技術が数多く考案されている. 近年では量子コンピュータ技術の発展によって, 量子コンピュータを用いたとしても偽造が困難な署名方式 の研究が重要である. ディジタル署名の一例として, グループ内の誰もがそのグループの代表者として署名 を生成できるグループ署名がある. グループ署名では管理者を置くことによって署名から署名者を追跡す ることができる. Rivest らによって提案されたリング署名は管理者の存在を仮定しないため, 生成されたリ ング署名から署名者を特定することはできない. このような性質は匿名性と呼ばれ, 署名者の情報が秘匿さ れる必要がある電子投票などの場面で利用される. 電子投票においてユーザ N 人中 t 人が賛同した場合に 案が通るという状況を考えたとき, 異なる t 人が共同で署名を生成する方法として閾値署名がある. 本研究 では既存の閾値リング署名方式よりも小さいサイズの署名を生成可能な方式を提案する.