岡田 健汰
連合学習 (FL) は IoT の分野で注目されている技術の一つである. 連合学習では各参加者の学習モデルを サーバで集約し, 集約結果を用いて参加者はさらに学習モデルを更新できる. しかし連合学習においてモデ ル関連データを交換すると, 参加者の機密データが漏れる可能性がある. 2017 年に Phong らにより, 加法準 同型暗号 (AHE) を用いた連合学習モデルが提案された. さらに, 2021 年に Li らにより, chain-PPFL と呼 ばれるプライバシー保護連合学習フレームワークが提案された. しかし, これらのシステムにおいて, 以下 の 2 つの脆弱性があると考えられる. 1) 悪意ある参加者が他の参加者の学習データを知る可能性がある. 2) サーバから学習パラメータが漏洩する可能性がある. 本論文では準同型暗号の性質を利用し 2 つの問題を解 消した, より安全な連合学習フレームワーク TAHE-PPFL を提案する. TAHE-PPFL では安全性において 以下の 3 つの特徴がある. 1) 参加者間での情報漏洩を防ぐ. 2) サーバから漏れる情報も暗号化される. 3) 耐 量子計算機暗号を用いることで量子計算機の時代でも安全に利用できる.