概要

プログラミング言語の問題点がソフトウェアの脆弱性を導くことが多く,安全なプログラミング言語の確立は重要である.メモリ安全性とはぶら下がりポインタやオーバーラン等のメモリに関する問題を未然に防ぐことを意味する.C 言語や C++言語はメモリ安全性は担保されておらず,メモリ安全性の担保が可能な Rust が代替言語として注目されている.Rust のメモリ安全性に注目して隔離環境を実装した OS がいくつか存在するが,OS 実装の際はメモリアロケータを別途構築する必要があり,隔離環境の実装はメモリアロケータに依存している.しかし現時点でメモリアロケータの動作検証は充分に行われていない.本論文ではメモリアロケータの動作を検査するフレームワークの提案を行う.フレームワークはメモリの確保/開放の動作を対象とし,動作範囲と動作時間の 2 点について検査する.またフレームワークを用いて Rustで制作された既存のメモリアロケータの動作について検証し,パフォーマンスの比較を行った.

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